店内の隅にヘラクレスオオカブトの標本がさりげなく置いてあった。 小枝に留められているそれは、つややかで、今にも動き出しそうだ。 思わず箱に駆け寄りのぞき込む。 学名Dyanastes hercules 。やっぱりヘラクレスオオカブトだ。 虫には触れないが、苦手ではない。 まして目の前にいるのはヘラクレスオオカブトだ。ヘラクレス~はカブトムシの王様みたいなヤツで、小学生の頃、誰もが一度は憧れる存在なのだ。・・・まぁ、少なくとも男の子は。 昆虫の標本に興味を示す女性客なんてあまり多くはないようで、笑顔でマスターが「オーナーの趣味なんだよ」と声をかけてくる。 「飲み物は?何にする?」 ここは、イメージを伝えれば、それにあわせたお酒をだしてくれる。 ヘラクレス~の生息地、カリブ海と南米にちなんで「爽やかなトロピカル」のカクテルを頼んだ。 注文してから「ヘラクレス」でオーダーすればよかったかな、とぼんやり思う。 こういうとき自分の決断力のなさ、未練がましさにちょっとうんざりする。 「どうぞ」と差し出されたグラスには薄いブルーの液体が入っていて、 口をつけたらそれはそれは爽やかな、トロピカルな味だった。 「おいしい!」 心の中でヘラクレスと呟いてみた。 ※本文は事実に基づいたフィクションです。まだまだこんなところに一人ではいけません(笑)
by zonnebloem
| 2006-03-11 01:02
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